Aプログラム『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』

10月8日(土)13:50~1,500円

「全盲の美術鑑賞者」白鳥さんをめぐるアメイジングな日々。水戸映画祭にてプレミア上映!

目の見えない白鳥さん アートを見にいく

2022年/日本/107分
監督:三好大輔・川内有緒
出演:白鳥建二・佐藤麻衣子・森山純子 ほか

目の見えない人はどうやってアートを見るのだろう。
恋人とのデートがきっかけで初めて美術館を訪れた全盲の白鳥建二さん。その日、作品を前に彼女が語る言葉を聞きながら「全盲でもアートを見ることはできるのかも」と思うようになった。そして自らあちこちの美術館の門を叩いた白鳥さんは、いつの間にか「自由な会話を使ったアート鑑賞」という独自の鑑賞法を編み出した。本作は、そんな「全盲の美術鑑賞者」、その友人たち、美術館で働く人々、新たに白鳥さんと出会った人々と紡ぎ出す豊かな会話を追ったドキュメンタリーである。
水戸から東京、新潟、そして福島へ。アートをめぐりながら、白鳥さんは旅をしていく。カメラは、その旅路や見えない日常を追い続ける。いつしか、一緒に見る人たちも、白鳥さん自身も何かが少しずつ変わっていって……。
答えのない問いを胸に抱えながら、分断の時代を生きるわたしたち。アートの力とはなにか。障害とは何か。見えないからこそ見えてくるものはあるのか。異なる背景の人々が一緒に作品を見る意味、そして「見える」「見えない」、障害と健常、アーティストと鑑賞者といった「線」を超えようとする人々。他の誰にもなれない孤独な存在と豊かでのびのびとした会話が生み出す静かな波を映し出す。
※「全盲の美術鑑賞者」白鳥建二さんは、水戸芸術館現代美術センターで開催されている、視覚に障害がある人との鑑賞ツアー「session!」のナビゲーターを10年にわたり務めています。
※バリアフリー日本語字幕付きで上映します。

ゲスト

白鳥建二

白鳥建二[全盲の美術鑑賞者]
生れ付き強度の弱視で、中学くらいにはほとんど見えなくなり、20代半ばで全盲になる。美術館デートをきっかけに、鑑賞に興味を持ち、単独で美術館へ行く活動を始める。会話しながら鑑賞するという方法で、友人と美術館に行ったり、鑑賞会に関わるようになって20年以上になる。
水戸芸術館現代美術センターで開催されている、視覚に障害がある人との鑑賞ツアー「session!」のナビゲーターを10年にわたり務めている。

三好大輔

三好大輔[映画監督/プロデューサー]
1972年岐阜生まれ。1995年 日本大学芸術学部卒業後、音楽映像専門の株式会社セップに入社。MVやライブ映像の制作に携わる。スペースシャワーTVのブランディングを行い、2000年PROMAX&BDA AWARDS受賞。2003年 広告制作会社を経て2005年独立。CM、ドキュメンタリー、音楽ニュース番組など幅広く活動。癌を患った友人のライター奥山貴宏を追った記録がNHKのETV特集「オレを覚えていてほしい」で放送され評判となる。2008年 東京藝術大学美術学部デザイン科映像工房講師として映像の指導をはじめる。後に同大学美術研究科大学院専門研究員となる。2009年 市井の人々が記録してきた8mmホームムービーを収集して新たな映画に仕立てる「地域映画」づくりを墨田ではじめ、全国にその活動を広げている。2011年 東日本大震災を機に信州安曇野に移住。2015年 株式会社アルプスピクチャーズ設立。2020年 松本市内の築150年の古民家に拠点を移す。全盲の美術鑑賞者 白鳥建二を追ったドキュメンタリー映画「白い鳥」共同監督。映画制作を中心にしながら、全国の大学、高校、中学、小学校で映像の指導を行っている。

川内有緒

川内有緒[ノンフィクション作家]
1972年東京都生まれ。
映画監督を目指して日本大学芸術学部へ進学したものの、あっさりとその道を断念。中南米のカルチャーに魅せられ、米国ジョージタウン大学の中南米地域研究学で修士号を取得。米国企業、日本のシンクタンク、仏のユネスコ本部などに勤務し、国際協力分野で12年間働く。2010年以降は東京を拠点に評伝、旅行記、エッセイなどの執筆を行う。
『バウルを探して 地球の片隅に伝わる秘密の歌』(幻冬舎)で、新田次郎文学賞、『空をゆく巨人』(集英社)で開高健ノンフィクション賞を受賞。著書に『パリでメシを食う。』『パリの国連で夢を食う。』(以上幻冬舎文庫)、『晴れたら空に骨まいて』(講談社文庫)、『バウルを探して〈完全版〉』(三輪舎)など。全盲の美術鑑賞者、白鳥建二さんを追ったドキュメンタリー映画『白い鳥』の共同監督。
現在は子育てをしながら、執筆や旅を続け、小さなギャラリー「山小屋」(東京)を家族で運営する。趣味は美術鑑賞とD.I.Y。高尾山にも登ったことがないわりに「生まれ変わったら冒険家になりたい」が口癖。最新刊は『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』(集英社インターナショナル)。
Twitter: @ArioKawauchi

ナビゲーター:森山純子[水戸芸術館現代美術センター]


2022年08月23日 | Posted in 第37回水戸映画祭[2022] | | Comments Closed