Hプログラム『土曜の午後に』

〈世界への扉〉

10月25日(土) 16:40~

 1,500円

日本人7人を含む22名が犠牲となったダッカ襲撃人質テロ事件を題材に
全編ワンカット撮影で描く緊迫のドラマ

映画 土曜の午後に

2019年/バングラデシュ=ドイツ/デジタル/カラー/86分/ベンガル語・英語/日本語・英語字幕付き/原題:Shonibar Bikel・英題:Saturday Afternoon
2019年アジアフォーカス・福岡国際映画祭 熊本市賞受賞
監督・脚本:モストファ・サルワル・ファルキ
撮影:アジズ・ジャンバキエフ
音楽:バベル・アリン
美術:シハブ・ヌルン・ノビ
出演:ジャヒド・ハサン ポロムブロト・チャテルジー ヌストラ・イムロズ・ティシャ イヤド・フラニ

 本作は、2016年7月1日にダッカで実際に起きたテロ事件を元にしたものである。この事件は、7人の過激派がダッカのレストラン「ホーリー・アーティザン」で人質をとり12時間に渡って立てこもった。最後は機動隊が突入し13人の人質を救出したが、日本人7人を含む22人の人質が殺害された。事件についてはISが犯行声明を出したが、バングラデシュ政府はこれを否定して、地元の過激派の犯行としている。監督はこの痛ましい事件をワンシーン・ワンカットの緊迫した映像で描き、過激派の言動に疑問を投げかけながら、希望を見出そうとする。

〈あらすじ〉
 バングラデシュの首都ダッカ。ラマダン期間中の土曜日の午後。あるレストランがイスラム過激派に占拠される。周りを警察に取り囲まれた逃げ場がなくなった彼らは、レストランの客を人質にとる。彼らは外国人の客を別室に隔離し、レストランの従業員を尋問する。コーランを唱えることを強要し、イスラム教徒でない者は容赦なく殺害していく。テレビからは、テロリストによるレストラン占拠のニュースが流れる。そのうち店の人質の中にシーア派のインド人がいることがわかる。テロリストたちは客も含めて誰がインド人か探し始める。誰がインド人か名乗り出なければ全員殺すと脅すのだった。

【スタッフ・コメント】
 バングラデシュ(正式名称「バングラデシュ人民共和国)は、大河ガンジス川の下流部が流れ込む、ベンガル湾沿いの肥沃なデルタ地帯にあり、ラビンドラナート・タゴールの母語でもあるベンガル語を話し、複雑な国史を持っています。かつては米やジュートの生産地として「黄金のベンガル」とも称され、今でもジャングルにはベンガルトラが生息しています。
 日本との関係は深く、人的交流も盛んなのにも関わらず、多くの日本人には、あまりよく知られていない国のひとつでしょう。そこで鑑賞後には、立教大学 異文化コミュニケーション学部の日下部准教授をお招きし、事件の実態やバングラデシュについて理解を深める機会を設けました。
 作品の提供元である福岡市総合図書館は、歴史的・芸術的・文化的に貴重な映画を収集・アーカイブしている施設です。その崇高な取り組みに敬意を表します。今後も貴重な作品を上映する機会を創出していけるよう、まずは、より多くの方々に観に来ていただきたいです。

ゲスト
映画監督 早川千絵

日下部尚徳[立教大学 異文化コミュニケーション学部 准教授]
東京外国語大学准教授を経て、2020年4月より現職。専門は南アジア地域研究、開発社会学、国際協力論。バングラデシュを主なフィールドとし、貧困や気候変動、児童労働、難民問題などのテーマで調査・研究を行う。同国の政治・経済動向をメディア等で積極的に発信している。著書に『自分ゴトとして考える難民問題:SDGs時代の向き合い方』(単著、岩波書店)、『現代バングラデシュ:経済成長と激動する社会』(共編、東京大学出版会)、『アジアからみるコロナと世界:我々は分断されたのか』(共編、毎日新聞出版)、『バングラデシュを知るための66章』(共編、明石書店)、『わたし8歳、職業、家事使用人。:世界の児童労働者1億5200万人の1人』(単著、合同出版)他多数。

映画 土曜の午後に
映画 土曜の午後に

2025年08月04日 | Posted in 第40回水戸映画祭[2025] | | Comments Closed