『RRR』トーク・レポート|第38回 Eプログラム
登壇者
安宅直子[フリーライター]
聞き手:山田タポシ
水戸映画祭では、2023年に大きな話題となったインド映画『RRR』をトリとして上映しました。第33回の『バーフバリ 王の凱旋〈完全版〉』(2017)、第36回の『ジャッリカットゥ 牛の怒り』(2019)に続くインド映画。『バーフバリ』同様の絶叫応援上映とし、上映後のトークも『ジャッリカットゥ』の際にお招きした安宅直子さんにお話を伺いました。
※トークの模様から抜粋してお届けします。
『RRR』が 描く愛と友情のゆくえ
まずは、本作のS S ラージャマウリ監督へインタビューをされた安宅直子さんの記事について、お話を伺いました。
『RRR』は、歴史上実在した人物でもあるコムラム・ビームとアッルーリ・シータラーマ・ラージュを基にしたフィクションなのですが、そうした事実を基にした大胆な発想を、ラージャマウリ監督がどのように得たのかを語っていただきました。
またテルグ語映画界のトップスターでもあるNTR Jr.(ビーム役)とラーム・チャラン(ラーマ役)が配役された経緯、テルグ語映画でのラージャマウリ監督の存在感や公開前から大変な盛り上がりを見せたインドでのようす、主役を務めた二人のトップスターの簡単な紹介を踏まえ、トークはいよいよ温まっていきました。
記事を基にした掘り下げトークは、ラージャマウリ監督がどのようにシーンやシークエンスを創り出していくのか、インドの叙事詩や神話がいかに物語に打ち出されていくのかといった、映画製作における肝となる話にまで及んでいきました。
映画祭でのトークでしかお話いただけなかった内容もありますが、基になったインタビュー記事をご紹介しておきます。
S.S.ラージャマウリ監督『RRR』超濃厚インタビュー!「NTR Jr.とラーム・チャランありきで始まった」【前編】
『RRR』ラージャマウリ監督が“現代インド映画&テルグ語映画”をガチ語り!「巧みな物語は言語の壁を超えます」【後編】
インド独立民族運動の背景
劇中でも、エンディングテーマ曲♫エッタラ・ジェンダ(旗をあげろ)という曲で象徴的に使用される旗の話から、当時のインド独立運動の動き、マハトマ・ガンディーが登場しない理由、イギリス帝国の植民地支配がインドにもたらした非道な仕打ち、独立後もインド分断の要因となった背景についても解説をいただきました。
時間も押していくなか、40もの言語で製作されているインド映画の特徴、ラージャマウリ監督のフィルモグラフィーについても触れ、50分以上の熱烈トークは終了。
まだ『RRR』が描く愛と友情のゆくえを見届けていないかたは、初公開より2年近い今でも(数は少なくなりましたが)劇場で絶賛公開中ですので、公式サイトや公式Xアカウントなどを追いかけ、至高の感情体験を浴びさせてくれる『RRR』をぜひ劇場で味わってください。
最後に安宅直子さんが編集され、茨城大学の山田桂子先生+山田タポシで著した『RRR』の解説本をご紹介しておきます。
写真:神山靖弘 文・構成:山田タポシ