『恋は光』トーク・レポート|第38回 Bプログラム
登壇者
小林啓一[映画監督]
聞き手:天貝みずき
2022年スタッフがノーマークの鑑賞で激ハマりし、劇場や映画祭に複数回通った本作。水戸でも上映していましたが、上映期間も短く、きっとポスターや予告で自分には合わないかな、と思って見ずに終わってしまった人たちもいるはず…と思い、改めて映画祭での上映企画を提案しました。
※トークの模様から抜粋してお届けします。
恋に落ちる最中や落ちた後を描く作品は数あれど、そもそも恋って何?、と、恋に落ちる前段階を感情ではなく理屈でじっくりじっくり考える、もしかしたら当たり前のことにただ気づくだけかもしれないし、新しい気づきがあるかもしれませんが、どこに帰結したとしても、その考え悩むという行為が尊いなと思わせてくれる作品です。
上映後は小林啓一監督をお招きしてトークをお届けしました。はじめに、本作について、ロケ地、原作からの変更点やその意図、演出についてなど、お聞きしてみました。理詰めで進んでいく原作のエッセンスを抽出して組み換えるという中で、約30回脚本を直したということからも大変さが窺い知れます……。
また、光についてのお話から、小林監督の過去作からの印象とあわせて、監督の考える「白・色味・光」についての考え方もお聞きしました。監督は、モノクロ・カラーに拘らず、光が綺麗な映画が好きで、作品を作る際も光の濃淡を気にしているそうです。光が印象的な映画について『遙かなる山の呼び声』(1980)を挙げていただきました。
キャストの話では、作品での印象的なセリフや喋り方など、聞き手の感想も交え、主要キャスト5人の起用の経緯、作品の舞台裏などのお話を聞くことができました。当初の撮影予定から1年越しの撮影となり、キャストの皆さんが、元々の撮影予定の時期と雰囲気が変わっていたらしく、空くべきして空いた1年だったようです。
最後は事前にX(旧Twitter)で募集していた質問タイムに。映画祭前にすでに観賞した方からのQ&Aも映画祭ならではの素敵な時間となりました。
当初、すでに本作を観たリピーターの方が多いかと予想をしていたのですが、実際は今回初めて観賞したお客様が多かったのが嬉しい驚きでした。スタッフ自身、何度も作品を観て、観客としてお話を聞くタイミングもあり、熱量が高いままお届けしたBプログラムとなりました。参加いただいた方の映画体験がより濃厚なものになっていれば幸いです。
写真:神山靖弘 文・構成:天貝みずき