2022年10月8日(土)
10:15~『東京物語』〈35mmフィルム上映〉料金:500円
英国映画協会『Sight&Sound』誌で映画監督が選ぶ史上最高の映画ベストテン第1位に選ばれるなど、世界的にも不動の評価を誇る小津安二郎監督の傑作を35mmフィルムで上映します。
1953年松竹(大船)/ モノクロ/スタンダード/136分
監督・脚本:小津安二郎
出演:笠智衆・東山千栄子・原節子・杉村春子・山村聰・三宅邦子・香川京子・東野英治郎・中村伸郎・大坂志郎・十朱久雄 ほか
この作品を作るにあたって、小津監督は「親と子の成長を通じて、日本の家族制度がどう崩壊するか描きたかった」と語っている。戦後から8年しか経ていない当時、まだ〈高度経済成長〉や〈核家族〉といった表現がなされていない頃の作品である。尾道に住む老夫婦が、医者の長男や美容師の長女が住む東京に出かける。幸福そうな家庭も経済的には苦しそうである。東京で暮らす昔の同僚も親子関係に不満をもらす。子供たちが計画した熱海への旅行も疲れただけ。唯一の救いは次男の戦争未亡人との一時であった。帰郷の途中に立ち寄った三男の下宿で気分を悪くした母は、尾道へ帰って間もなく死んでしまった。駆けつけた子供たちがあわただしく帰った後、残された老父はしみじみと孤独を噛みしめるのだった。「キネマ旬報」ベストテン第2位。1957年のロンドン映画祭での上映、翌年の英国映画協会(BFI)サザーランド賞受賞が、世界の小津ブームのきっかけとなった。
主催:水戸市優秀映画鑑賞推進事業実行委員会/公益財団法人 水戸市芸術振興財団/国立映画アーカイブ
特別協力:文化庁/(一社)日本映画製作者連盟/全国興行生活衛生同業組合連合会/(株)松竹
A プログラム 13:50~『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』1,500円
「全盲の美術鑑賞者」白鳥さんをめぐるアメイジングな日々。水戸映画祭にてプレミア上映!
2022年/日本/107分
監督:三好大輔・川内有緒
出演:白鳥建二・佐藤麻衣子・森山純子 ほか
目の見えない人はどうやってアートを見るのだろう。
恋人とのデートがきっかけで初めて美術館を訪れた全盲の白鳥建二さん。その日、作品を前に彼女が語る言葉を聞きながら「全盲でもアートを見ることはできるのかも」と思うようになった。そして自らあちこちの美術館の門を叩いた白鳥さんは、いつの間にか「自由な会話を使ったアート鑑賞」という独自の鑑賞法を編み出した。本作は、そんな「全盲の美術鑑賞者」、その友人たち、美術館で働く人々、新たに白鳥さんと出会った人々と紡ぎ出す豊かな会話を追ったドキュメンタリーである。
水戸から東京、新潟、そして福島へ。アートをめぐりながら、白鳥さんは旅をしていく。カメラは、その旅路や見えない日常を追い続ける。いつしか、一緒に見る人たちも、白鳥さん自身も何かが少しずつ変わっていって……。
答えのない問いを胸に抱えながら、分断の時代を生きるわたしたち。アートの力とはなにか。障害とは何か。見えないからこそ見えてくるものはあるのか。異なる背景の人々が一緒に作品を見る意味、そして「見える」「見えない」、障害と健常、アーティストと鑑賞者といった「線」を超えようとする人々。他の誰にもなれない孤独な存在と豊かでのびのびとした会話が生み出す静かな波を映し出す。
※「全盲の美術鑑賞者」白鳥建二さんは、水戸芸術館現代美術センターで開催されている、視覚に障害がある人との鑑賞ツアー「session!」のナビゲーターを10年にわたり務めています。
※バリアフリー日本語字幕付きで上映します。
白鳥建二[全盲の美術鑑賞者]
三好大輔[映画監督/プロデューサー]
川内有緒[ノンフィクション作家]
ナビゲーター:森山純子[水戸芸術館現代美術センター]
B プログラム 17:45~『偶然と想像』1,500円
第71回ベルリン国際映画祭 審査員グランプリ(銀熊賞)受賞作品!「偶然」をテーマにした3話から成る、『ハッピーアワー』『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督初の短編集。
2021年/日本/121分
監督・脚本:濱口竜介
出演:〈第一話〉古川琴音・中島歩・玄理 〈第二話〉渋川清彦・森郁月・甲斐翔真 〈第三話〉占部房子・河井青葉
軽快な物語の始まり、日常の対話から一転、鳥肌が立つような緊張感と共に引き出される人間の本性、切り取られる人生の一瞬……日本映画の新時代を感じさせる体験が、観る者の心を捉える。
2021年カンヌ国際映画祭では『ドライブ・マイ・カー』が脚本賞など4賞、2020年ヴェネチア国際映画祭では『スパイの妻<劇場版>』(共同脚本)が銀獅子賞(監督賞)、そして本作『偶然と想像』がベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞……今や世界が最も注目する映画監督の一人であり、日本映画の新時代をリードする存在ともなった濱口竜介監督。本作は「偶然」をテーマにした3つの物語で構成され、監督自身が「このスタイルをライフワークとしたい」と語る、初の“短編集”となった。
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