第37回水戸映画祭 Bプログラム『偶然と想像』

第37回水戸映画祭 偶然と想像 登壇ゲスト 中島 歩 占部 房子 河井 青葉 司会 寺門 義典

登壇者

中島 歩 占部 房子 河井 青葉

司会:寺門 義典

『ドライブ・マイ・カー』で第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督の最新作でありながら、水戸での上映がなかったことでセレクト。上映後のゲストトークには、出演俳優の中島歩さん、占部房子さん、河井青葉さんをお招きし、撮影の裏話などをお聞きしました。ゲストの掛け合いも終始和やかで、何度も会場が笑いに包まれていました。特に濱口監督の独特の演出法に対して俳優としてどのように向き合ったのかを丁寧に語っていただけたことで、作品を読み解く手がかりとなり、作品を深く理解することができる豊かな鑑賞体験となりました。

第37回水戸映画祭 偶然と想像 登壇ゲスト  中島 歩 占部 房子 河井 青葉 司会 寺門 義典

※上映後トークの模様から一部抜粋してお届けします。(以下、敬称略)

寺門:みなさん今日はお越し頂きありがとうございます。中島さんは水戸芸術館へは舞台のお仕事で来られたことがありますね。

中島:はい、10日間くらいの滞在でしたが劇場の格子の意匠をよく覚えています。(劇場内を指して)あのあたりでウォーミングアップをしましたね。

第37回水戸映画祭 偶然と想像 登壇ゲスト 中島 歩 占部 房子 河井 青葉 司会 寺門 義典

寺門:占部さんは、水戸芸術館ははじめてですか?

占部:はじめてです。いい劇場とは聞いていましたが、客席と舞台の距離感が程よくていいですね。

寺門:河井さんは、水戸ロケ作品で三宅唱監督の『Playback』(2012年)や濱口竜介監督の『不気味なものの肌に触れる』(2013年)に出演されていますね。

河井:そうですね、『Playback』はほぼ全編水戸で撮影でしたので、1週間くらい滞在しました。ちょうど10年ほど前になりますね。

第37回水戸映画祭 偶然と想像 登壇ゲスト 中島 歩 占部 房子 河井 青葉 司会 寺門 義典

寺門:さっそく作品の話に移りますと、中島さんが出られた第一話と、第二話はコロナ前の撮影、占部さん河井さんが出られた第三話はコロナ禍に入ってから、と伺いました。コロナ禍での撮影はかなり少人数で行われたそうですね?

占部河井:キャストを入れて8人ですね。今までで一番少ないかもしれない。第一話はどうでした?

中島:第一話も7〜8人だったかと。コロナ禍はそこまで関係なく、短編ということと、衣装も自前でしたのでおそらく予算的にも、小回りの効くスタイルという意味でも最小限の人数で撮られたのかもしれません。

寺門:今日は1本目に小津安二郎監督の『東京物語』の上映がありました。濱口竜介監督も小津安二郎監督について色々と言及されています。この作品の撮影にあたって事前に『麦秋』をご覧になったそうですね。

中島:はい、キャストと監督で観ました。原節子さんと杉村春子さんの芝居の場面で、大変達者な役者さんですが、杉村さんが原さんの手を取る前に原さんの手の位置を確認するような所作が映っているらしく。本作では、そういう意図的な動きをなるべく廃して、本当にその場で起きた自然な動きを抽出しようという監督の意図があったようです。 (占部さん河井さんに向かって)第三話は、前日譚はやりました?

河井:そうですね、「流出してしまったメールのやり取り」(注:第三話はインターネットのシステム破綻後の世界という物語設定があった)が具体的に作られていて、過去にふたりにどういう関係があったのかとかは、監督が書いてきてくださっていました。 演じる役の人物像を、自分自身でさらに普段の趣味とか詳しい設定を想像して加味して、「その人として話す」、という作業もやりました。前日譚と自分で加味した設定を混ぜて話したりなどもしました。

占部:リハーサルに時間をかける、本読みに時間をかける、というのは以前の作品からありました。『PASSION』(2008年)の顔合わせのときには、自己紹介代わりに一曲歌う、ということもありまして。突然伴奏もなにもなく、ただの会議室みたいなところで、少し戸惑いましたが、まず濱口監督が一曲歌ってくれました。(一同笑)

寺門:何を歌ったんですか?

占部:監督はスピッツでした。

寺門:占部さん、河井さんは?

占部:わたしは「ひょっこりひょうたん島」。

河井:わたしは「365歩のマーチ」です。

第37回水戸映画祭 偶然と想像 登壇ゲスト 中島 歩 占部 房子 河井 青葉 司会 寺門 義典

寺門:劇場でも客席から笑いが起きるような作品で、コント(エリック・ロメール作品のような)として楽しく撮ってらっしゃるようにみえますけれど、実際の現場はシビアなところもありましたか?

中島:ほんとうにひたすら本読みなので、眠くなるというか変になりそうでした。それでも監督から、テキストを信じて、と言われてひたすら本読み。第一話は口論となるシーンもあるので、まだ抑揚というか山場がありましたけど、第三話は口論などもなく穏やかに進みますよね、お二人はアドリブでちょっと変えたいとか付け加えたいと思ったりはしませんでしたか?

河井:脚本に書かれていることがすでに、ちょっと奇想天外な展開なので、もうそのままやれば面白いだろうとは思っていました。

占部:やはり過酷と言えるレベルで何度も何度も本読みはしました。感情を抑えてただひたすら読んでいく。撮影でも何度も何度も何度も繰り返し撮って。いまのよかったんじゃない?と思っても「もう一回お願いします」って。笑

河井:それでも繰り返し相手の声をずっと聞いていると、不思議とだんだん相手の声をよく聞けるようになるし、みえるようになってくる感覚があって、自分のことより相手に集中することが出来ました。

中島:だんだん信頼が生まれてくるというか、たしかにそれはありますね。相手とひたすら本読みをやる意味はあるのでしょうね。

占部:それと濱口組はお弁当がとても美味しいんです。たぶん監督も美味しいものがお好きかと思います。ですので、お弁当まであと少しがんばろうと笑

中島:うん、お弁当はこだわって用意してくださっているようで美味しかったですね。

寺門:最後に一言お願いします。

中島:みなさん今日はお越し頂きありがとうございました。『偶然と想像』のDVDが発売されました。一人10枚くらい買って布教してください(笑)。それと『よだかの片思い』(2021年、安川有果監督)という映画に出演していますので、機会がありましたら是非ご覧ください。

占部:みなさま今日はありがとうございます。お客様からのご感想も聞いてみたかったのですが(Q&Aはコロナ対策のためNG)、 是非どこかで機会があればお聞かせください。舞台のほうでもまた水戸に来られたら嬉しいです。

河井:この映画は個人的にもとても好きな特別な作品になりました。この作品と共にあちこちの劇場に伺うことができ嬉しいです。また水戸にも来られました。皆様ありがとうございました。

〜フォトセッション〜

最後に、10月7日は中島さんの誕生日ということで、サプライズで花束をお渡ししました。
とても喜んでいただけてスタッフも嬉しかったです。
実力派俳優の大変魅力的な素顔に触れられて、水戸映画祭でもひときわ華やかな時間となりました。

第37回水戸映画祭 偶然と想像 登壇ゲスト 中島 歩 占部 房子 河井 青葉 司会 寺門 義典

当日プログラム詳細

(写真:神山 靖弘 冒頭文:寺門 義典 文・構成:藤 美奈子)


2022年11月13日 | Posted in Talk Report | | Comments Closed